夏の欠片

2004年8月24日 恋愛
ひとりは、きらいで、

かまって欲しくて、泣く、わたしの、

手を、取ってくれるのはいつも、

キミでした。

何も言わず、

ただ、背中をくっつけて、

わたしはその時間のほとんどにkのことを考えていて、

余白でキミの背中の体温を思っていました。

これだけ、くっ付いていても、

手を出さないキミのことを、

器用じゃないな、なんて思いながら、

わたしから、近付くこともせず。

ただ、暖かな背中と、

いつも冷たいあのひとの、

指のことを、

思っていました。

朽ちた鎖でぐるぐるまきのわたしの心臓が、

悲鳴をあげるのが分りました。

でも背中の体温だけが、

わたしを正気へと繋いでいました。

外には風が強く、吹いていました。

ただぼんやりと風の音を聞きながら、

うとうととしていて、

目覚めると柔らかに髪を、

撫でられる心地よさがありました。

どちらも言葉を発せず、

触れあうこともせず、

ただ、沈黙だけがそこにありました。

目を開けると、

まだ年若い青年の、

真直ぐな瞳だけが、

そこにありました。

射るようにではなく、

見据えるようにでもなく、

ただ、

静かにわたしを見つめる漆黒の瞳が、

静かにそこにありました。

Kよりもこのひとを、

スキになることなんて、

Kよりも誰かを、

スキになることなんて、

ないだろう、とまた

思いました。

それでも。

手を取ってみようか、と

不覚にも思ってしまった夕暮れでした。

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