螺旋

2004年8月18日 散文
あなたのいた世界が、

わたしの全てでした。

誰がなんと言おうと、

あの交わりはわたしの組成を緩やかに組み換え、

わたしを別のものへと変えました。

あなたのいた世界が、

わたしの全てでした。

誰がなんといおうと、

たとえそれが依存だとしても、

わたしの中にはぎゅうぎゅうに、

あなただけが詰まっていました。

あなたのいる世界が、

わたしの全てでした。

今もこれからも、

仕組みを変えたわたしのカラダは、

もう、元に戻ることはない。

たとえばなにかを失ってしまっても、

たとえばあなたを失ってしまっても、

たとえばわたしを失ってしまっても。

あなたのいる世界だけが、

わたしには輝いて見えました。

どうしてでしょうね。

わたしにはよくわかりません。

あの交わりだけが、

なぜ、

わたしを変えてしまうことになってしまったのか。

おそらくそれが、

恋というものなのでしょうね。

そうも、思います。

待つものが刹那であったとしても、

あなたのいる世界はわたしの組成を変え、

わたしの全てにあなたが。

あの交わりだけがわたしを変えて、

全ての世界を失ってもわたしは、

内にあの交わりを抱きしめて、

行くのでしょうね。

愛なのでしょうか。

執着でしょうか。

わたしにはよく、わからないでいます。

aquarium

2004年8月16日 散文
イメージを変えたくて、

パーマを落とし、

髪の色を、黒く、染めた。

鏡の中のわたしは、

きゅっと唇を結んでいて、

少しだけ、意志が、

強そうに見える。

そして全てを、

諦めているように、

見える。

わたしは、

ただ、ここにあるだけ。

ゆらゆらと、

そこを泳ぐだけの、

魚。

全てを受け入れて、

それでも痛まずに、

ただ、そこにあるだけの自分を認めて、

行くべきところなんてとくになくて、

ただ、

ゆらゆらと、

泳ぐ、存在。

邪念は、必要が、ない。

だから、いらない。

水と小さな餌だけあれば。

わたしの

わたしの

ちいさな、

小さな、

あなた。

邪念。

遥か

2004年8月15日 散文
裸足で歩くわたしの道の

小石を拾うあなたの

以外とちいさな手が

傷付いていくのが

見えました。

知りませんでした。

あなたの手の

傷のことなんて。

ほんのすこしも

わたしは

知りませんでした。

裸足で歩くわたしの

道の小石が

その手で避けられていたなんて。

屋根も小石も太陽も

傷も痛みも憎しみも

すべてあなたがくれました。

遠き在りし日に

光も水も空も土も

すべてあなたが

くれました。

永遠という美徳

2004年8月14日 散文
散るからこそ、

限りのあるものは美しい。

だけれど、

大切に、大切に、

守り続けて行く伸びた背筋もまた、

有限を凌駕するほど美しい。

大切にしすぎて、

わたしから去り行くのが怖くて、

いつも、いつも、

左手を握りしめてしまうんだ。

そして潰してしまう、

青い花びら。

わたしの永久は、

おそらくはこの手の中では、

育ちにくい。

意識してそっと、力を抜く。

潰さないように。

夜更け

2004年8月13日 散文
そこにあるのは

あたたかさでした。

孤独に震える心を抱え、

それでもなおその余力で、

雨を遮る屋根と、

太陽をくれました。

わたしは、

その余白の匂いをそっとかぎました。

触れてみた手も、

暖かいことを知りました。

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