セックス

2004年9月10日 おもうこと
わたしは4年ほど前、

躯を使ったお仕事を半年ほどしていた。

だから今でも、躯に触れられるのは得意じゃない。

思いだすから。

その後もいくつも恋愛をしてきたし、

何人もの男の体重を受け止めて来たけれど、

頭の中から冷静さが消えて行くことはないし、

責められ喘ぎ声をあげるときすら、

反撃のチャンスを伺っている。

相手の愛撫に頭が白くなることなんてほとんどない。

断片的で極短い快感が、あるだけ。

それはそれで哀しいことなんだろうけど、

わたしが捨ててきたものの、一つなんだろう。

そう思う。

愛撫されるのは濡れるためだけでいい。

相手と一つになっているという感情と、

しっかりとわたしだけを映す二つの漆黒の瞳だけあればいい。

女をあまり知らないTくんの、

ぎこちなく触る指や唇を抱きしめながら、

愛おしく、思う。

あそこを舐められるのは嫌い。

その赤くグロテスクな塊を、

あまりにもたくさん男に見せて来たから。

もし、セックスに狂いたくなるときが来たら、

知らない男を探そうと決めている。

醜い塊を見られても、

恥ずかしいなんて思わないくらいの、他人を。

おそらくわたしは恋人に気づかれることなく、

そうしてしまうことができるだろう。

でも、しない。

わたしの性欲はとうの昔に死んでしまっているから。

抱擁を許すのは、

触れられるのを許すのは、

ひとりでいい。

ただ内側から破られるような、

苦しい快感だけが、

わたしがここにいるのだと教えてくれる。

いつのまにか怖くて、

相手に主導権を渡せなくなっている。

何代前の恋人からかは忘れたけれど、

いつのまにかセックスは、

まるで昔していた仕事のように、

わたしペースで進むものになっている。

もちろん、心情的にはすこし異なるけれど。

べつになくてもいい。

だけれど、深く結びついていることを実感できるから、

あってもいい。

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