夏の欠片

2004年8月24日 恋愛
ひとりは、きらいで、

かまって欲しくて、泣く、わたしの、

手を、取ってくれるのはいつも、

キミでした。

何も言わず、

ただ、背中をくっつけて、

わたしはその時間のほとんどにkのことを考えていて、

余白でキミの背中の体温を思っていました。

これだけ、くっ付いていても、

手を出さないキミのことを、

器用じゃないな、なんて思いながら、

わたしから、近付くこともせず。

ただ、暖かな背中と、

いつも冷たいあのひとの、

指のことを、

思っていました。

朽ちた鎖でぐるぐるまきのわたしの心臓が、

悲鳴をあげるのが分りました。

でも背中の体温だけが、

わたしを正気へと繋いでいました。

外には風が強く、吹いていました。

ただぼんやりと風の音を聞きながら、

うとうととしていて、

目覚めると柔らかに髪を、

撫でられる心地よさがありました。

どちらも言葉を発せず、

触れあうこともせず、

ただ、沈黙だけがそこにありました。

目を開けると、

まだ年若い青年の、

真直ぐな瞳だけが、

そこにありました。

射るようにではなく、

見据えるようにでもなく、

ただ、

静かにわたしを見つめる漆黒の瞳が、

静かにそこにありました。

Kよりもこのひとを、

スキになることなんて、

Kよりも誰かを、

スキになることなんて、

ないだろう、とまた

思いました。

それでも。

手を取ってみようか、と

不覚にも思ってしまった夕暮れでした。

  

2004年8月20日
オトナになったら
怖いものなんてなくなるって思ってた。

信頼

2004年8月20日 恋愛
朝の飛行機で、

Tくんが帰って来る。

お土産を持って行ってもいい?

と、聞かれ

いいと答える。

地元に10日ほど帰り、

地方化した彼と会話するのは楽しみだ。

それだけ。

いや、淋しいのだろう。

東京に帰って横浜の自宅に荷物をおいて、

それから約束をした。

いちおう部屋を片付ける。

おつき合いは考えていないけれど、

もう少し近付くのは悪くないと思える。

よくなつくわたしのわんこ。

淋しいだけかもしれない。

それの何が悪い?

 信頼は、行動でしか積み上げることはできません。

以前、Kに言った言葉。

スキかどうかはまだ分らない。

ただ、わたしは、

Tくんの行動を、信頼はしている。

シングルタスク

2004年8月19日 恋愛
Dr.Iからお誘いのメール。

面倒なので、適当にはぐらかす。

4つ年下。

+

天気がいいから、

お外にはでない。

連休中は特別予定はない。

明日Tくんが福岡から帰って来る。

わんこのように、

わたしに懐く彼をかわいらしいと思う。

少なくとも、

そっと大切そうにわたしの手を取る瞬間は、

慈しむことができる。

まるで弟みたい。

10年下のコの、

ときどき見せる守ってくれる姿は、

ほんの少し新鮮だ。

わたしはまるでお気に入りのわんこの散歩をするみたいに、

そっと彼の手を握り返す。

人を好きになる感情は、

K以外に対しては沸かない。
逃げてしまいたくなったのは、

正しくあるべきことに、

疲れてしまったからだ。

わたしじしんは、

正しい道など進めてはいないのに、

正しくなくてもどうってことないって思っているのに、

凛としていることを意識し過ぎて、

心がどんどんと離れて、

届かない所へ離れて行くから。

常に精神性を、

美しくあろうと、

意識して来た。

疲れてしまった。

ただ、流れて行こうと思う。

それが後に後悔を呼ぶものだったとしても、

今、わたしが、

行きたい方向へ、

行ってみようと思う。

いつだって引きかえせる。

全てがわたしの、

血肉となるのだから。

善も、悪も、愛も哀もすべてなにもかも。
あまりにすべきことが見つからなかったので、

ゆっくりと時間をかけて、

半身浴をした。

それから、

爪の甘皮のケアをして、

久しぶりに自分で、ネイルを塗った。

はみ出しこそしないけれど、

仕上がりに満足はいかない。

明日ネイルサロンに行こう、と

決心する。

指先が綺麗であれば、

少しは気が晴れるだろう。

ベビィピンクをベースにした、

フレンチネイルに仕上げられた、

小さな爪は、

不器用に、居心地が悪そうに、

わたしの指先に、

ちょこん、と鎮座している。

スキと言ってくれる人はいる。

淋しいとき、紛らわしてくれようとする人は、いる。

でも、わたしの心はゆらゆらと、

相変わらず、

心細そうに、

漂っているだけ。

どこに行きたいのか、

ただ、遠くに行きたいとしか、

カエリタイ、としか、

分らない。

どこにもわたし場所はない。

強く、強く、

抱きしめて欲しい。

潰れてしまうぐらいに。

呼吸が止まるぐらいに。

永久なんて望んでいないから。

今だけでいい。

潰して欲しい。

螺旋

2004年8月18日 散文
あなたのいた世界が、

わたしの全てでした。

誰がなんと言おうと、

あの交わりはわたしの組成を緩やかに組み換え、

わたしを別のものへと変えました。

あなたのいた世界が、

わたしの全てでした。

誰がなんといおうと、

たとえそれが依存だとしても、

わたしの中にはぎゅうぎゅうに、

あなただけが詰まっていました。

あなたのいる世界が、

わたしの全てでした。

今もこれからも、

仕組みを変えたわたしのカラダは、

もう、元に戻ることはない。

たとえばなにかを失ってしまっても、

たとえばあなたを失ってしまっても、

たとえばわたしを失ってしまっても。

あなたのいる世界だけが、

わたしには輝いて見えました。

どうしてでしょうね。

わたしにはよくわかりません。

あの交わりだけが、

なぜ、

わたしを変えてしまうことになってしまったのか。

おそらくそれが、

恋というものなのでしょうね。

そうも、思います。

待つものが刹那であったとしても、

あなたのいる世界はわたしの組成を変え、

わたしの全てにあなたが。

あの交わりだけがわたしを変えて、

全ての世界を失ってもわたしは、

内にあの交わりを抱きしめて、

行くのでしょうね。

愛なのでしょうか。

執着でしょうか。

わたしにはよく、わからないでいます。

ipet club

2004年8月18日 おもうこと
猫の保険に、

入ろうと思う。

わたしより長生きしてくれるように。

びよきになったらスペシャルな医療を受けられるように。

お願いだから、

お願いだから、

わたしを一人に、

しないで。

柔らかな毛を、

そっと撫でながら、

溜まらなくなって、

お腹に顔を埋める。

わたしを一人に、

しないで。

ぷにぷにの、黒い肉球。

不機嫌そうな、わたしの猫。
あのひとのところから去るとき、

わたしは言った。

愛していると同じだけ、

憎んでいた人へ。

わたしを忘れないで。

憎んでも忘れないで。

それがわたしたちが共にいた、

軌跡だから。

小さな小さな出来事の一つ一つなんて、

どうでもいいことはもう忘れた。

ただ、あのもう戻り得ない時間の一塊全てを、

穏やかに、憎んでいる。

まるで傷つけあうためみたいに深く、深く、

愛した。

まるで壊してしまいたいように、

強く、強く、抱いた。

ただ、戻りたいとは思わないあの日々を一塊として、

わたしは今も、緩やかに、

憎んでいる。

わたしは忘れない。

殺してしまいたいほど憎み、

愛したあの人とともにいた日々を。

ちぎれるほどに傷つけあった日々を。

戦うように抱き合ったあの、日々を。

引力

2004年8月17日 恋愛
昨日メル友Aさんと食事をした。

2つ年上。

最初はぎこちない会話から、
少しずつお互いのコトを話しはじめる。

真面目そうな人。

別れ際、次のお休みはいつ?と聞かれ、

 あと3日か4日仕事が終った頃かな?

と、曖昧な返事を返す。

引力は感じない。

10回も会えば、慣れるかもしれない。

誠実そうな人だと思う。

過去の自分の恋愛を考えると、

引力を信じて、

失敗することも多い。

失敗しないような相手を選ぶのであれば、

この人のような人がいいかもしれない。

でも、食指は動かない。

ただ、きちんとした人だな、という、

印象があるだけ。

+

わたしに、暴力的なまでの引力を放ったKから、

わたしを引き離す相手が、

いてくれればいいのに。

誰と会っても、

本当にKと別れてしまうことは、

考えられない。

aquarium

2004年8月16日 散文
イメージを変えたくて、

パーマを落とし、

髪の色を、黒く、染めた。

鏡の中のわたしは、

きゅっと唇を結んでいて、

少しだけ、意志が、

強そうに見える。

そして全てを、

諦めているように、

見える。

わたしは、

ただ、ここにあるだけ。

ゆらゆらと、

そこを泳ぐだけの、

魚。

全てを受け入れて、

それでも痛まずに、

ただ、そこにあるだけの自分を認めて、

行くべきところなんてとくになくて、

ただ、

ゆらゆらと、

泳ぐ、存在。

邪念は、必要が、ない。

だから、いらない。

水と小さな餌だけあれば。

わたしの

わたしの

ちいさな、

小さな、

あなた。

邪念。

遥か

2004年8月15日 散文
裸足で歩くわたしの道の

小石を拾うあなたの

以外とちいさな手が

傷付いていくのが

見えました。

知りませんでした。

あなたの手の

傷のことなんて。

ほんのすこしも

わたしは

知りませんでした。

裸足で歩くわたしの

道の小石が

その手で避けられていたなんて。

屋根も小石も太陽も

傷も痛みも憎しみも

すべてあなたがくれました。

遠き在りし日に

光も水も空も土も

すべてあなたが

くれました。

永遠という美徳

2004年8月14日 散文
散るからこそ、

限りのあるものは美しい。

だけれど、

大切に、大切に、

守り続けて行く伸びた背筋もまた、

有限を凌駕するほど美しい。

大切にしすぎて、

わたしから去り行くのが怖くて、

いつも、いつも、

左手を握りしめてしまうんだ。

そして潰してしまう、

青い花びら。

わたしの永久は、

おそらくはこの手の中では、

育ちにくい。

意識してそっと、力を抜く。

潰さないように。

夜更け

2004年8月13日 散文
そこにあるのは

あたたかさでした。

孤独に震える心を抱え、

それでもなおその余力で、

雨を遮る屋根と、

太陽をくれました。

わたしは、

その余白の匂いをそっとかぎました。

触れてみた手も、

暖かいことを知りました。
溜まっているものを打ち明けるようにでもなく、

告白のように気負うわけでもなく、

 ヤキモチを焼くのは惹かれているからよ

と、

メールした。

ただ、再会したあのひとが、

わたし好みの男の子に、成長していたというだけの話。

何も求めていない、と言ったら嘘になるだろうけれど、

心はそう、波うってもいない。

いろいろなことを、

諦めることにわたしは慣れすぎているし、

誰かに必要以上に近付くのは、

少し、怖い気もする。

スキとはまだ言えない。

ただ、惹かれているだけ。

わたしはいつでも、

その裏側の部分を、

見てみたいと思ってしまうんだ。

それはわたし自身の裏側と、

同じ匂いがするかもしれない、と

ほんのすこぅしだけ、

期待をこめて。

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